修理の見積書に20万円と書かれていた。払えない額ではないけれど、この車にそこまでかける意味があるのかと手が止まる。
20万円は判断がいちばん割れる金額です。直すほうが安く済むことも多い一方で、ここから出費が続いていく車もあります。
この記事では見積額を20万円と決まったものとして扱います。そのうえでその20万円が1回きりなのか、続いている出費の一部なのかで判断を分ける方法を書きます。
結論:修理代20万円は「単発なら直す」に傾きやすい
先に結論から書きます。
20万円という金額よりそれが1回きりなのか続いているのかで判断は変わります。同じ20万円でも意味がまったく違うためです。
| 7年落ち未満 | 7〜12年 | 13年超 | |
|---|---|---|---|
| 単発の故障 | 直す | 直す判断になりやすい | 買取額と並べて決める |
| 積み上がり | 直す。ただし原因を確認 | 判断が割れる | 買い替えも候補に入れる |
| 同じ系統の再発 | 保証と原因を先に確認 | 買い替えと並べる | 買い替えが現実的になる |
表の縦がこの記事でいちばん大事な軸です。年式は横に置いてありますが、先に決まるのは縦のほうです。
20万円は1回払えば数年持つなら十分に見合う金額です。逆にこれが3回目なら同じ金額でも意味が変わります。
20万円で判断が割れるのは、この金額が車の価値と近くなる帯だからです。10万円なら迷わず直す方が多く、50万円なら買い替えを考える方が増えます。20万円はちょうどその境目に来ます。
その20万円は1回きりか、続いている出費か
見積書は今回の金額しか教えてくれません。判断するには過去と今後を自分で足す必要があります。

単発:1つの部位が壊れた
ここ2年ほど大きな修理をしておらず、今回だけ20万円が出たパターンです。原因がはっきりしていて、直せば元の状態に戻ります。
この場合は20万円を乗る年数で割るだけで判断できます。買い替えと比べても年あたりでは直すほうが軽くなることがほとんどです。
単発かどうかの確認はひとつです。その部品が交換後に何年もつと見られているかを聞いてください。数年もつ部品なら、払った20万円はその年数ぶんの価値になります。
積み上がり:複数の見積もりが同時に出ている
1か所20万円ではなく5万円・8万円・7万円といった項目が重なって20万円になっているパターンです。
この形で気をつけたいのは今回直さなかった分が消えるわけではないことです。先送りにした項目は次の車検や次の不調のときに戻ってきます。
ただし積み上がりでも消耗品の交換時期がたまたま重なっただけなら話は別です。タイヤやバッテリーは交換すればしばらく持ちます。
再発:同じ系統が繰り返している
いちばん注意したいのがこれです。去年も同じあたりを直した、警告灯が消えてはまた点く。こうした状態では今回の20万円で終わらない可能性があります。
整備士に聞いておきたいのは次の1点です。
「今回の故障と同じ系統で、ほかに弱っている箇所はありますか」
同じ系統の部品は同じように年数と距離を重ねています。1つ替えたら次が来るという流れは珍しくありません。繰り返しの見方は車の故障が増えてきたら買い替え時?修理か乗り換えか判断する5つのポイントで詳しく扱っています。
直近2年の修理費を足すと見え方が変わる
単発か積み上がりかを自分で確かめる方法があります。今回の20万円に直近2年で払った修理費を足してみることです。
| 直近2年の修理費 | 今回を足した2年の合計 | 見え方 |
|---|---|---|
| ほとんどなし | 20万円 | 単発。直す判断になりやすい |
| 10万円前後 | 30万円 | 年15万円。買い替えと並べる価値が出てくる |
| 20万円以上 | 40万円以上 | 続いている。今回だけで判断しない |
2年で区切るのは、車検の周期と合うからです。前回の車検から今回までにいくら使ったかが分かれば、この車の年あたりの維持費がそのまま見えます。
整備の記録は車検証入れに整備記録簿として入っていることが多く、同じ工場に出し続けているなら履歴を出してもらえます。領収書やクレジットカードの明細からでも拾えます。
整備の記録が残っていれば正確に出せます。記録がなくてもだいたいの金額で構いません。合計が増えるほど今回の20万円は「続いている出費の一部」として見るべきです。
判断のしかた:20万円を年あたりに置き換える
縦軸が決まったら金額を同じ形にそろえます。このサイトでは全ての記事で次の考え方を使っています。考え方の詳しい解説は車を修理するか買い替えるか迷ったら?判断する7つのポイントにあります。
年あたり維持コスト =(今回の修理費 + 今後2年の想定修理費)÷ 乗り続けられる年数
単発の20万円で今後2年に大きな出費が見込まれない場合を考えます。あと4年乗るなら年5万円です。あと2年でも年10万円になります。
買い替え側は諸費用まで入れた総支払額で出します。120万円の車に6年乗るなら年20万円です。単発の20万円なら直すほうが年あたりでは軽くなります。
積み上がりの場合は式の2つ目が変わります。今後2年にさらに15万円かかりそうなら合計35万円です。あと3年で割れば年11.6万円になります。
30万円を超えてくると判断の性質が変わります。そこから先の考え方は車の修理代30万円なら直す?年式・走行距離別の判断基準で年式と走行距離から整理しています。
20万円で買い替えられるか
「修理に20万円出すなら、その分を買い替えに回したい」と考える方は多いはずです。ここは正直に書きます。
20万円の予算で買える車はいまの車と同じかそれより古いことがほとんどです。車両価格が20万円でも登録や整備の費用が別に乗ります。
しかも次の車の状態は乗ってみるまで分かりません。いまの車は少なくともどこが悪いかが分かっているという利点があります。
中古車は前の持ち主の使い方が分かりません。整備記録が残っていない車なら、買った直後に同じような修理が出ることもあります。
買い替えを本気で比べるなら予算は20万円ではなくいまの車の買取額を足した金額になります。その総額で何年乗れる車が買えるかを見てください。
たとえば買取額が15万円なら、修理に使うはずだった20万円と合わせて35万円が予算です。この金額なら選べる車の幅は広がります。
それでもいまの車を直して4年乗る場合の年5万円を下回るかは、別に確かめる必要があります。安く買えても早く壊れれば、年あたりでは高くつきます。
修理代20万円を払って直す判断になりやすいケース
次のどれかに当てはまるなら直すほうが結果的に軽くなりやすくなります。
- 直近2年に大きな修理をしていない
今回が単発である可能性が高くなります - 原因がはっきりしている
直せば元に戻る故障は、払った金額が結果につながります - あと3年以上乗るつもりがある
20万円は年7万円以下になります - 車検がしばらく先
修理と車検が同時に来ないぶん負担が分散します
これらに当てはまる20万円は、車の価値を保つための出費です。直したあとに何年乗るかを決めておけば、払う前に金額の意味がはっきりします。
修理代20万円でも買い替えを考えたいケース

逆に、次のような状態なら20万円でも一度立ち止まる価値があります。
- 同じ系統の故障が繰り返している
今回で終わらない可能性があります - 直近2年の修理費と合わせて40万円を超える
金額よりペースのほうが問題です - 数か月以内に車検が来る
修理費と車検費用を合算して判断する必要があります - あと乗る予定が2年未満
20万円が年10万円以上になります
車検が近い場合は修理費だけで決めないでください。車検とまとめた金額での考え方は車検費用20万円は高い?見積もりで確認する項目と通す・買い替える判断基準にまとめてあります。
13年を超えている車ではここに税の負担も加わります。何がいくら変わるのかは13年落ちの車は買い替えるべき?税金・車検・修理費から考えるで公式の情報をもとに整理しています。
修理代20万円を決める前にやること
順番があります。見積書だけを見て決めると、比べる相手がないまま払うことになります。
1. 見積もりを「必須」と「予防」に分けてもらう
積み上がりの20万円ではここで金額が下がることがあります。「今すぐ直さないと危ないのはどれですか」と聞いてください。
金額の妥当性が気になるなら別の工場でも見積もりを取ると比べやすくなります。取り方は車の修理見積もりは無料?何社取る?相見積もりの取り方と比較ポイントにまとめてあります。
2. 今の車の買取額を確認する
次に比べる相手の数字です。買取額は売ると決めていなくても必要な数字です。買い替えの予算にもなります。
故障している状態でも査定は受けられます。査定額が何で決まるのかと査定の受け方は10年落ちの車は売れる?買取相場と価値が残りやすい車の条件にまとめてあります。
ここで注意点をひとつ。一括査定に申し込むと、複数の買取業者から電話がかかってきます。相場を早く把握するには有効な方法ですが、電話対応が負担に感じる場合は業者数を絞れるサービスを選ぶか、1社ずつ問い合わせる方法もあります。申し込む前に知っておいてください。
3. 買い替えた場合の総支払額を出す
候補の車を1台決めて、諸費用まで入った総支払額を出してもらいます。そこから買取額を引いた差額が実際の持ち出しです。
- 必須整備だけにしたときの修理費
- 直近2年に払った修理費
- 今後2年で来そうな費用
- 今の車の買取額と買い替えの総支払額
修理代20万円に関するよくある質問
修理代20万円は高すぎませんか?
故障の箇所と作業内容によって変わるため一律には言えません。気になるなら別の工場でもう1つ見積もりを取るのが確実です。そのとき同じ症状を同じように伝えるようにしてください。前提がずれると、金額を比べても意味がなくなります。
20万円あれば中古車が買えるのではないですか?
車両価格が20万円台の中古車はあります。ただし登録などの諸費用が加わるうえその車があと何年乗れるかは状態しだいです。買い替えを比べるなら総支払額とその車に乗れる年数の両方をそろえてください。
同じ場所が何度も壊れるのは修理のしかたが悪いからですか?
一概には言えません。同じ系統の部品が同時期に寿命を迎えている場合もあります。まず前回の修理に保証が付いていないかを確認し、同じ症状であることを伝えて相談してください。原因が別の部品にある可能性も含めて見てもらうのが先です。
20万円の修理費を下げる方法はありますか?
いくつかあります。まず今回やる範囲を相談すること、次に部品の選択肢を聞くことです。新品の純正部品以外に、リビルト品や中古部品を使える箇所があるかを確認してください。費用が変わることがあります。
そのうえで金額に納得できないなら、別の工場でも見積もりを取るのが確実です。ただし安さだけで選ぶと、必要な整備まで省かれることがあります。何をやって何をやらないかを書面で残してもらってください。
修理してから売るのと、そのまま売るのはどちらが得ですか?
売ると決めているなら20万円を払ってもその分だけ査定額が上がるわけではありません(故障した車は修理してから売る?そのまま売る?)。修理した場合としない場合の両方の査定額を聞いて、差額が修理費を超えるかどうかで判断してください。
まとめ
- 20万円は「単発なら直す」に傾きやすい——金額より1回きりかどうかで決まる
- 直近2年の修理費を足して見る。合計が増えるほど続いている出費と考える
- 同じ系統の再発は要注意——今回の20万円で終わらないことがある
- 単発の20万円であと4年乗るなら年5万円。買い替えより軽くなりやすい
- 20万円の予算で買える車は限られる。買取額を足した総額で考える
- 車検が近いなら修理費と車検費用を合算してから判断する
20万円という金額は大きすぎて即決もできず、小さすぎて諦めもつかない額です。だからこそ迷います。
今回だけを見るのをやめて、直近2年と今後2年を足して年で割る。それだけで、払う価値のある20万円かどうかがはっきりします。
あわせて読みたい
出典・参考
本記事の金額はすべて考え方を示すための例です。実際の修理費・買取額は車種・年式・走行距離・状態・地域・時期によって変わります。修理の要否は必ず整備工場の点検を受けてご判断ください。
経過年数による自動車重量税・自動車税の区分については13年落ちの車は買い替えるべき?に公式ソースとあわせてまとめています。制度は改正される場合があります。

コメント